令和元年6月、求職者支援訓練の実施施設開校に寄せて

弊社が職業訓練事業に初参入したのは2010年(平成22年)、その頃は現行の求職者支援訓練ではなく基金訓練という制度下での運用でした。この間、約10年。世の中は大きく変化し、2019年5月より時代は令和へと移り、平成は過去の歴史となりました。

10年前に一般的ではなかったものといえば、例えばスマートフォン。スマホの登場により、すべての人にとってインターネットが身近なものとなりました。朝から晩までインターネットに常時接続されている環境が当たり前となり、YouTubeなどの動画サイト、ツイッターやフェイスブックなどのSNS、クラウド上で完結する多種多様なサービス…、生活においてビジネスにおいて今や欠くことのできないサービスが続々と誕生しました。

グローバル経済下、これからの日本はどのように諸外国と対峙するのか、そしてこれからの時代に求められる人材となるためにどのような分野のスキルを身につけるべきか。日々新たなテクノロジーが生まれ、膨大な情報と多種多様な価値観で溢れかえる現代社会に身を置く我々にとって、疑問と課題は山積するばかりです。

これから受講生となる皆様と価値観と認識を共有する意味を込め、当校の理念を記して挨拶と代えさせていただきます。

1.プログラミング教育を通じて学ぶ楽しさを知る
2.表面的な技術にばかりとらわれない、基礎的かつ普遍的な知識と技術の習得に主眼を置いたカリキュラム
3.わかる楽しさ、つくる楽しさ、知る楽しさ、考える楽しさ、毎日にもっとクリエイティビティを!

本校主任講師からご挨拶

皆さんこんにちは。PGK江坂校・主任講師の水野と申します。
本校ではPythonプログラミングを核とする訓練カリキュラムを提供しております。Pythonは一般的な言語と比べて習得が容易なだけでなく、記述性の高さ・柔軟性・ライブラリの豊富さなどから爆発的に利用者が増え、実務・教育・人工知能などの研究分野で近年幅広く使われているプログラミング言語です。国家試験の情報処理技術者試験において2019年秋季よりPythonが試験科目として新たに追加されるなど、注目度は今後ますます高まってゆくものと予想されます。

訓練前半では、Pythonを核としながらも、あらゆる言語に共通する普遍的かつ基礎的なプログラミングの考え方と技法を時間をかけてじっくりと習得します。プログラミング言語というものは突き詰めればどれも方言のようなものであって、見た目こそ違えど本質的にはどれも似たようなものであることさえ理解できれば、あらゆるプログラミング言語に対してほぼ共通したアプローチで立ち向かうことが出来るようになります。特定の言語の表層ばかりを追っていては、コンピュータサイエンスの深淵に触れることは決してできません。コードの丸暗記ではなく理屈で覚える。オブジェクト指向プログラミングも関数型プログラミングも理屈で理解する。これはとても重要なことです。

訓練後半では、アプリケーション開発などPythonのより高度な応用プログラミングに加えて、データサイエンスの基礎からPythonを使った機械学習・ディープラーニングなどのAI分野まで一通り扱います。ですが、確率・統計・線形代数・微積分など難しい数学の予備知識は不要です。実際のデータを使った視覚的な演習により、抑えておくべき最低限の数学的背景からPythonを使ったデータ分析の基礎技法まで、事前知識がなくても過不足なく習得できるようカリキュラムを構成しておりますので、肩肘張らず安心して受講していただければ幸いです。

最後に。10年前15年前にもてはやされていたIT技術のかなりの部分が現在では時代遅れになっています。今もてはやされているIT技術も、10年後にはその多くが時代遅れになり、より先進的な技術に置き換えられていることでしょう。誤解を恐れずに言えば、IT技術は究極的には労働力削減のための技術です。徹底的に効率化を追求し続け、人的コスト金銭的コスト時間的コストを可能な限り最小化し、もし可能ならばゼロにしてしまいたいと考える世界です。日進月歩でIT技術が進化し、誰しもがその便利さを享受し、さらなる便利さと低コスト化を我々の社会が要求し続ける以上、これは抗うことのできない現代社会の宿命的な歩みであると言わざるを得ません。だからこそ流行りの技術の表層ばかりを追わず、その技術の根底に流れる普遍的な仕組みと考え方を理解しようとする姿勢が大切です。10年後20年後を見据え、ともに成長しましょう!

Let’s enjoy learning Python programming together!!

資料

経済産業省によるIT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果

■2010年代の後半から2020年にかけて、産業界では大型のIT関連投資が続くことや、昨今の情報セキュリティ等に対するニーズの増大により、IT人 材の不足が改めて課題となっている。また、ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が 進展することが予想され、中長期的にもITに対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれる

■しかし、我が国の人口減少に伴い、労働人口(特に若年人口)が減少することから、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられる。こ のように、IT需要の拡大にもかかわらず、国内の人材供給力が低下することから、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性が高い。

■ITは今後も我が国産業の成長にとって重要な役割を担うことが強く期待されている。こうしたITの重要性を踏まえると、今後も十分なIT人材を確保することは、我が国にとってきわめて重要な課題であるといえる。本調査は、こうした問題意識のもとで、IT人材の中長期的な需給動向を展望するとと もに、今後のIT人材の確保・育成に向けた方策を検討するものである。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/27FY/ITjinzai_report_summary.pdf